春日部 一般社団法人らしえる

障害の生きづらさを考える <行動援護>

<ニュース 要支援者の避難>

常識が通用しない…いま備える防災
高齢化が進む地域 災害時「要支援者の避難」 課題
2024年4月27日  福島テレビ


気象庁は2024年5月から7月の3カ月予報を発表し「全国的に平均気温が高くなる」と見通しを示した 降水量に関しては県内では「ほぼ平年並み」とのこと。年々、災害も激甚化していて、いざというときに身を守るためには「助け合い」の仕組みも重要になる


専門家 ハード以外の対策も重要

東京大学大学院の客員教授で防災行動や危機管理の専門家・松尾一郎さんは「海面水温の変化を見ると確実に温暖化が進んでいる すでに東北の太平洋側は、過去の平均よりも5℃以上高い。雨は確実に増える
堤防などハード対策では守りきれなくなる。だから危険な時は、安全な場所に逃げる防災対策が重要になる」と指摘する


被災経験者が企画 防災シンポジウム
2024年4月14日、福島県川俣町で「防災」に関するシンポジウムが開かれた
松尾さんや、福島テレビの斎藤気象予報士・防災士も登壇し、災害の前兆となる気象現象や、とるべき避難行動などについて講演した
このシンポジウムを企画したのは、令和元年東日本台風で大きな被害を受けた川俣町小島地区の住民たちなど
山あいにある小島地区は、東日本台風で300ミリを超える大雨が降り、地区を流れる広瀬川が氾濫したことで、住宅2棟が全壊・1棟が流失するなどの被害を受けた
年々激甚化する災害は、他人事ではない 参加者からは「最近、雨とか風とか経験のないような災害が起きている 自分の事として考え、備えなくてはと思った」「避難の時は、近所の人に”一緒に行くかい”と声を掛けたい」との声が聞かれた

「自分事の防災」を考えるきっけけに 要支援者の避難はどうするのか
住民も参加して行われた、パネルディスカッションでは、課題として「要支援者の避難」があがった
川俣町地域包括支援センターの宮口正稔所長は「要支援者を限られた時間の中で、どう連絡を取ってどう支援していくかというのが、課題と感じている」と話す
人口・約1万1000人のうち65歳以上の高齢者が約44%を占める川俣町では、単身の高齢者も250人ほどいる
川俣町地域包括支援センターの宮口正稔所長
普段からのつながりが大切に 山に囲まれた一軒家 川俣町の民生委員協議会の齋藤金男会長は、定期的にこの家を訪れる
1人暮らしの齋藤タケさんは91歳 この日は娘の静子さんが様子を見に来ていたが、過去に大雨や地震で裏の土手が崩れたこともあり、耳の遠いタケさんが1人でいるときに災害が起きたらと考えると、普段からの「つながり」と「支援する側」の連携が不可欠となる
川俣町の民生委員は50人あまりで、高齢者や障がいを持つ人など1000世帯を日常的に回っているが、そこで得た「どこにどのような要支援者がいる」という情報は、災害が起きた場合に速やかに町へ提供する
川俣町民生委員協議会の齋藤金男会長は「町や社協の事務局に、現状をつなぐことができる支援は一人ではできない 地域みんなで取り組まないと難しい」と話す

民生委員50人が1000世帯を巡回 地域コミュニティーが防災に
地域単位での「共助」の重要性について、川俣町の藤原町長は「自主防災組織が地域にできてくれば、災害が起きた時にそんなに驚かずに対応もできるし避難の指示もできる 原点は地域のコミュニティづくりだと思う」と話し「地域コミュニティは災害時に行政を助けることにもつながる」という
「普段からのつながり」が「いざというときの助け合い」へ 高齢化が深刻化する地域だからこその「連携」が求められる

<ニュース 行政がかわる 四街道市に「みんなで課」>

千葉・四街道市に「みんなで課」誕生 
寄付基金と連携へ
2024/04/28 朝日新聞 織井優佳

千葉県四街道市に今月、新たに「みんなで課」が誕生した
課員は管財、政策推進、自治振興など様々な分野の出身者からなり、鈴木陽介市長の「地域住民と行政が一緒に街づくりを担う」との決意から命名された気になるその初仕事とは


10日東京都千代田区の都道府県会館で開かれた共同記者会見 鈴木市長は徳島市、山形県西川町、奈良県三宅町の首長とそろって会見に臨んだ
四街道市を含む4市町は 3月社会課題の解決を加速するポリシーファンド(寄付基金)を運営する「PoliPoli」(東京都千代田区、伊藤和真社長)と包括連携協定を締結
今後、ファンドからの資金を使ってNPO団体などと社会課題解決のための実証実験に取り組む この日はプロジェクトのお披露目会見でこれがみんなで課の初仕事となった


4市町が利用する制度は、起業家や国内外の財団などから「寄付」として集めた資金を活用する 少子高齢化や貧困など各自治体の課題ごとにNPO団体などをマッチングし、課題解決に向けた各団体の活動資金を提供する
PoliPoliがこれまでの政策共創で培った人脈を生かし、具体性のある政策提言を目指すという NPO団体はアイデアがあっても実地で検証するフィールドがなく、現場の課題を抱える自治体には柔軟な発想や、新たな挑戦への予算が乏しい
両者を結びつけ、実験の資金を提供し、課題の早期解決をはかるのがこのファンドの手法だ
ファンドは各自治体の課題ごとに意欲ある団体を募集 計画内容を審査し、おおむね1カ月以内に助成先を決める 実証実験の進捗(しんちょく)は数カ月〜半年単位で評価し、成果がなければ資金提供を打ち切るという

             


四街道市のプロジェクトに投じられる資金は数千万円程度
自治体が用途を指定してふるさと納税を募る「ガバメントクラウドファンディング」よりスピード感があり、公募や評価などの事務はファンドが担うため、自治体の人的負担は少ない
人口10万人弱、子育て世帯の転入で人口増が続く四街道市は、「生活密着の住みやすさの向上」(鈴木市長)が行政の目標だ

           


この日鈴木市長は解決したい市の課題に
(1)子どもの居場所づくり(2)高齢者等の移動支援(3)地域ブランディング(4)廃校活用(5)グリーンインフラ整備の五つを挙げた


子どもの昼間の居場所づくりでは、学童保育には向かない子を含め、地域の大人がどう見守るのか、などの課題がある
みんなで課の岩井裕課長は「市民団体による子ども食堂が数カ所あるが、市内全域はカバーできない 幅広い受け皿が必要」と話す
岩井課長が昨年度まで対応していた運転免許返納後の高齢者の買い物問題も課題だ 市内では公共交通の空白地域で、グリーンスローモビリティ(低速電動車)の実証実験を始めたが「既存のバス路線との兼ね合いで利便性には限界がある」と岩井課長は言う
今月10日からプロジェクトの支援団体の公募を開始 公募であれば、地元NPO団体に加え、市内外の様々な発想を取り込める可能性もある
鈴木市長は期待をこう話す 「多様化するニーズに行政だけで対応するには、人手も財源も足りない 四街道を新しいアイデアを形にするラボにしていただき、行政も市民も主体として関わり、化学反応が生まれる それが『みんなで課』に込めた思いです」