春日部 一般社団法人らしえる

障害の生きづらさを考える <行動援護>

<ニュース 障害 要介護 "ごちゃまぜ" 金沢市・後編>

(後編) 障害、要介護…
あらゆる壁を取り払い "ごちゃまぜ"を実現する街
2024 3.12 ケアマネジメント・オンライン


■貴法人では、なぜそこまで取り組みを深化させられているのでしょうか 制度上、社会福祉法人に課された役割を思えば、それこそ、地域との交流は定期的なイベントを開くくらいでも十分とも思えます
 そこは、理事長の雄谷良成の姿勢が大きく影響しているのだと思います 今の理事長は3代目ですが、理事長自身、子供のころから知的障害のある利用者と同じ施設内で寝食を共にしてきてきたそうです その後、理事長はドミニカに青年海外協力隊として4年間過ごしましたが、ドミニカでは、制度としての福祉は存在しなくても、障害者も健常者も地域の中で共に暮らしている社会を体験してきたといいます
こうした体験をしてきた理事長だからこそ、制度の枠の中の福祉に納得せず、「ごちゃまぜ」というスタイルを見いだし、そして推し進めることができたのだと思います


■シェア金沢は10年目を迎えています 地域の方は、この10年でどう変わりましたか
 最近、シェア金沢の10周年記念のムービーを作ったのですが、そのムービでは、シェア金沢に隣接する田上2丁目の町会長さんが「障害を持った人を知ることができたし、特に意識せず、関わることができるようなった」と話されていました
実際、年末の大掃除には、田上2丁目の方も参加してくれています 回覧板で大掃除をすると告知するだけで参加してくれるのです 地域の人も参加される大忘年会も毎年、にぎやかに開いています
そうした「イベント」がなくても、たとえば毎日の犬の散歩道として使うなど、地域の人は、ごくごく自然にシェア金沢に出入りしてくれています とにかく、田上2丁目の人には「シェア金沢は町内会の一画」という意識を持っていただけていると確信しています

        

■近年は隣にある金沢刑務所とも交流 金沢刑務所とはどのような交流があるのでしょうか
 年に1度開催される矯正展に、シェア金沢で作った商品を出品しています 矯正展では、刑務所で出ているカレーライスを「プリズンカレー」という名前で提供するのですが、最近は、そのカレーの仕込みや販売も担当させてもらうようになりました さらに今年から、刑務所を出所する直前の方が行う地域貢献のプログラムとして、シェア金沢の草刈りをしていただいたりもしています

                                                             

■シェア金沢の今後の展開について、教えて下さい
 再来年度には、佛子園が運営しているフィットネスで、障害の有無も年齢差も関係なく、誰でも利用できる「GOTCHA!WELLNESSウェルネス金沢」を作る方針です。ありがたいことに、地域の方もシェア金沢の住人もテナントの関係者も、楽しみにしてくれているようです


■今後、「ごちゃまぜ」というコンセプトを地域で体現し続けていく上で、ケアマネに期待することは何でしょうか
 「人の暮らしをコーディネートする上で、福祉の枠の中では、支えられることはほんの一部 いろんな分野の方と広く交流しましょう」 これは佛子園でよく言われていることです 生活を支えるお立場であるケアマネジャーさんは、この点を常に意識し、また実感されているのではないでしょうか そういう意味で、私たちとケアマネさんは同士だと思います だからこそできればケアマネジャーさんも、「ごちゃまぜ」という視点で、介護や福祉の枠にとらわれずにご利用者や地域を支えていただけるとうれしいですね