春日部 一般社団法人らしえる

障害の生きづらさを考える <行動援護>

<ニュース 介護業界に再編 変化・加速>

日本の介護業界に再編余地

ベネッセH事業拡大へ700億円超-EQT
2024年4月18日 JST 谷口崇子、佐野日出之


スウェーデンに拠点を置く投資ファンドEQTのアジア拠点会長を務めるジャン・サラタ氏は18日、ブルームバーグとのインタビューで日本の介護業界について「M&A(企業の合併・買収)による業界再編の余地がある」と述べ、傘下投資先企業の業容拡大を加速する方針を示した
サラタ氏は同社が創業家と共同でMBO(経営陣が参加する買収)を実施したベネッセホールディングスが主体となる介護事業のM&Aで、5億ドル(約770億円)程度の投資資金を用意していると説明。福武總一郎氏ら創業家との合意が前提としつつも、国内事業者のM&Aを積極的に進める意向だ

             

「進研ゼミ」などで知られるベネッセHは、老人ホームの運営数においても業界トップクラスを誇る サラタ氏は「国内でのブランド認知度が高く、非常に素晴らしい企業」と言及した上で、1955年の創業から時間がたち、やや停滞しているとして「われわれの手で活性化させたい」と述べた
少子高齢化で市場拡大が見込まれる日本の介護業界では、大手金融資本による参入が相次いでいる
2015年にSOMPOホールディングスがワタミの介護事業を買収
19年には大和証券グループ本社がオリックスの高齢者施設事業買収
23年には日本生命保険がニチイ学館の親会社を約2100億円で取得

各社は資金力を生かして小規模事業者の買収や業務提携を進めており、EQTの資金支援によってベネッセHも規模拡大を加速させる


ベネッセHは23年11月、MBOによる非上場化方針を発表
EQTが60%、創業家が40%(議決権ベースでは50%ずつ)を出資する形とした MBOはすでに成立しており、サラタ氏は「5月の上場廃止を目指して作業している」と述べた
また、介護と並ぶ事業の柱である教育事業については、まずはデジタル化に重点を置く方針 例えば子供向けの個別指導でオンライン化を強化、出版事業では紙から電子書籍への一定のシフトなども検討する 中国で既に事業化している教育ビジネスのさらなる海外展開も有望だとみている ベネッセHの公表資料によると、幼児から高校講座までの23年4月の国内会員数は計約221万人と、10年前から43%減少した


サラタ氏はEQTが日本において今後2年程度で50億ドル規模のプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資を行う方針も示した 昨年10月時点は30億ドルを計画していた
その後、ベネッセHやHRBrainへの出資を発表。順調に案件が積み上がっていることからより強気な見通しに引き上げた

                    

<ニュース 知的障害・刺しゅうアート 岩国市>

知的障害がある刺しゅう作家 華道家と共同アート
壁掛け風作品を母校の支援学校に贈る
2024/04/28 読売新聞  帆足英夫


山口県岩国市出身で知的障害がある刺しゅう作家・久米文子さん(34歳)が、同市の華道家・蔵重伸さんとの共同作品を完成させた
10枚の刺しゅう作品を花を生けるようにボードに配置したアートだ 2人は久米さんの母校の県立岩国総合支援学校(岩国市)に作品を贈り、笑顔を輝かせた


久米さんと蔵重さんによる共同制作の作品
久米さんの作品は、鳥、チョウ、花などの図柄や日頃の生活の中で紡いだ言葉を赤、青、黄といった色とりどりの糸で布地に縫って表現している
今回の作品は、久米さんの過去の作品群の中から蔵重さんが10枚を選び、縦116センチ、横91センチのボードにレイアウトし、壁掛け風に仕上げた
華道家元池坊岩国支部長を務める蔵重さんは、障害者を対象にした華道教室を開いている 久米さんも指導を受けたことがあり、こうした縁で今回の共同制作が実現した
久米さんは同県周南市のグループホームで暮らし、同市の就労継続支援事業所「夢ワークあけぼの」で制作の日々を送る 刺しゅうを始めたのは18歳の頃施設職員に習ったことがきっかけで、たちまちのめり込んだ


2019年度には障害のある芸術家を発掘する県の事業で、県内の優れた作家9人の中に選ばれた 今では年間の制作数は約300点に上り、県内外の店舗やインターネットで販売されている

                        

久米さんの作品の魅力について、蔵重さんは「落ち着いた色のトーン 文ちゃんの心にある、何かずっしりとしたものが、そういう表現になっているのでしょう」と語る
16日に同校で贈呈式があり、在校生に作品を贈った久米さんは、蔵重さんとともに笑顔で記念写真に納まった


障害者の文化芸術活動の推進に取り組むNPO法人「つながるネット」の理事長を務める慶典さんは、「障害者と一流の芸術家がコラボレーション(共同制作)することで、芸術の新たな可能性を見つけていけるはず」と言う
中根弘信校長(55)は「素晴らしい作品をいただき、ありがたい」と感謝した 作品は同校の玄関に近い廊下の壁に飾り、来校者が鑑賞できるようにするという