春日部 一般社団法人らしえる

障害の生きづらさを考える <行動援護>

<ニュース 都心の限界集落 戸山ハイツ >

                    

都心の「限界集落」団地、地域崩壊に高まる危機感 
1人暮らし高齢者急増の将来推計
2024/4/12 東京都新  山本玲・王美


国立社会保障・人口問題研究所が12日に公表した将来推計 令和32(2050)年には高齢化が深刻化し、65歳以上の1人暮らしは珍しくなくなる
地域社会の共同生活が難しくなる「限界集落」はすでに各地で問題となっており、コミュニティーの崩壊に歯止めをかける対策は待ったなしの課題だ

                                 

隣人が孤独死「普通の状態に」
約3000世帯が入居する東京都新宿区の都営集合住宅「戸山ハイツ」
地下鉄の駅から徒歩10分ほどの好立地だが、高齢化率が5割を超える「限界集落」の団地で、集合住宅の部屋に1人で暮らす高齢者も多い 12日午後に取材に訪ねると、買い物や病院に出かける高齢者の姿が目についた
「近頃見ないなあと思っていたら、亡くなっていた 死後3日くらいして親戚が見つけたと聞いた そういう状態が普通になっている」
住民の男性(84)は4年前に1人暮らしの隣人が亡くなったときの状況をこう語り、危機感をにじませた 若い住民の少なさに不安を感じているという ハイツは空室が1割近くに上るため、「新しい住民を入れればいいのに」と話した


居場所づくりや社会参加
現状に対する焦燥感からか、住民たちの結びつきは強い
50年以上住んでいる女性(76)は夫と2人暮らし 「配偶者が亡くなって1人で暮らす高齢者も多い お茶会などで交流し、できるだけ声をかけるようにしている」
単身の住民が孤独を感じないように気を配っているという
「1人で暮らしているが、近くに子供がいて時々見に来てくれるので不安はない」と話す住民の女性(82)もいた
戸山ハイツのように地域の高齢化は全国的な問題だ
国立社会保障・人口問題研究所の藤井多希子・第2室長は「平成27年ごろから社会的孤立や孤独がテーマとなり、地域での居場所づくりや社会参加が大きな課題となっている」と話す

                                 


今回の推計では、未婚の割合が高い50歳前後の団塊ジュニア世代がクローズアップされた
「この人たちが高齢化して単独世帯化すれば、身寄りがなく、支援も受けづらい高齢者の増加につながる」(藤井氏)
高齢者が高齢者の世話をする「老老介護」など高齢の親子だけの生活も、これまで以上に懸念される課題となる
戸山ハイツ近くのスーパーに向かうと、店舗前の広場で友人と談笑する住民男性(61)がいた 鬱病を患っているといい、同居する80代の母と年金などで生計を立てているそうだ 「母は(男性に)迷惑をかけたくないと言う。でも、自分がやるしかないし、面倒を見たいと思っている」と力強く語った

<ニュース 2024年 介護保険制度改正>

【2024年に介護保険制度改正】この春 介護の何が変わる?
知っておきたいポイントをプロが解説  
2024.4.8 ヤフーニュース   渋澤和世


介護を必要とする高齢者が急速に増え、同時に核家族化も進んだことで、ここ数十年の間に介護は家族だけでは担えない切実な問題になりました
そこで家族の負担を軽減し、社会全体で介護を支えることを目的に、2000年に介護保険制度が施行 その後、財政状況や高齢化の進行状況などを踏まえ、3年に一度のサイクルで見直しが行われています
2024年はその介護保険改正の年ですが、費用に関わることも多いので、介護をしている方は気が気ではなかったかもしれません
今回の相談者・恵美子さんも、前回の改正で痛い思いをしたため、戦々恐々としていたのだとか 話を聞いてみましょう


目次
・介護のお金も春から変わる?
・前回の介護保険制度の改正ポイント
・2024年改正で変わった4つのこと
・2024年改正で先送りになったもの


                             

介護のお金も春から変わる?
先日テレビを見ていたら、「この春から変わるもの」というタイトルで、春から値上がりする食品や新たな制度が紹介されていました その中で、年金が実質2.7%目減りしたり、年金収入が高い人の医療保険料がアップするといったことが取り上げられていたんです そこで初めて、モノの値段以外にさまざまなことが変わることを知りました
私は数年前から父親の介護をしていますが、今年は介護保険改正の年なので、その内容が気になっています
実は2020年の改正のとき、介護サービスを受ける際の自己負担額の上限が、一気に4万4000円から9万3000円に上がってしまい、大打撃を受けてしまったんです
同じように、老人ホームに入居する母親を持つ友人も、低所得にもかかわらず、食費の月額自己負担額が2万2000円も引き上げられたと嘆いていました 税金のお世話になっているのでありがたいとは思いつつ、お金の不安は付きまといます
2024年の改正では、今まで1割だった自己負担が2割になるとか 物価高も家計に影響している昨今気になって仕方がありません。そこで2024年の介護保険改正のポイントをわかりやすく教えてください


前回の介護保険制度の改正ポイント
介護保険制度が創設された2000年4月には184万人だったサービス利用者は、2024年1月には614.5万人となり、3.3倍に増えました
それに伴い、介護保険の総費用も3.6兆円から13.8兆円(2023年度)にまで膨れ上がっています
多くの税金が投入されている介護保険制度ですが、今年は団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」へ向けた最後の改正ということで、早くから注目を集めてきました ところがいくつかの大きな事案は見送られることが決まったのです
ここで少し、前回の改正を振り返ってみましょう
相談者の恵美子さんとそのご友人の家族が影響を受けたという2020年度改定(施行は翌2021年)では、高所得世帯を対象に、高額介護サービス費の上限額が引き上げられました 介護サービスを受ける際は、1ヵ月に支払った自己負担の上限額を超えたときに超過分が払い戻されますが、この自己負担額がアップしたのです。
対象となったのは、年収約770万円~1160万円未満(課税所得が380万円以上690万円未満)の世帯 該当世帯は、それまで一律4万4000円だった自己負担限度額が9万3000円に変更されたのです さらに年収約1160万円以上(課税所得が690万円以上)の世帯においては、14万100円に変更されました
これ以外に、介護保険施設の入居者やショートステイを利用する低所得者の食費負担の見直しも行われました



                                                           

2024年改正で変わった4つのこと
2024年改正で決定したのは、「①財務諸表の公表を義務化」「②介護情報基盤の整備」「③居宅介護支援事業所による予防支援事業の開始」「④福祉用具におけるレンタルと購入の選択化」の大きく4点です
① 財務諸表の公表を義務化
介護サービス事業所の詳細な財務状況を「介護サービス情報公表システム」で公開することが義務付けられました 情報の見える化により、私たち利用者は事業所の経営状態や賃金まで把握できるようになり、施設選びを行う際の参考となる基準が1つ増えました
② 介護情報を管理する基盤の整備
介護における各種情報を市町村が一元化し、電子情報として共有できる情報基盤の作成が決まりました この基盤が整備されれば、自治体は地域の介護保険の実情を把握し、利用者はより簡単に介護情報を確認できるようになります
③ 居宅介護支援事業所による予防支援事業の開始
介護予防支援は、これまで地域包括支援センターから委託を受けた地域の居宅介護支援事業所が行っていましたが、改定によってセンターを通さず居宅介護支援事業所が直接実施できるようになりました 手間やコストの削減が背景にありますが、居宅介護支援事業所が要支援以下の高齢者に直接携わることは、介護する側にとっても嬉しい改正なのでないでしょうか
④ 一部福祉用具のレンタルと購入が選択制に
単点杖(松葉杖は除く)、多点杖、歩行器(歩行車は除く)、固定用スロープに限り、利用者がレンタルと購入を選択できる制度が導入されました こちらも介護する側にとっては嬉しい改正です
この他にも、介護サービス事業所にかかわるものとして、①介護職員処遇改善加算、②介護職員等特定処遇改善加算、③介護職員等ベースアップ等支援加算の3つが一本化されることが決まりました この加算金額の見直しは、今後利用者の自己負担金額にも影響してきそうです


2024年改正で先送りになったもの
次の5項目に関しては、提案には上がっていたものの、見送りが決まりました これらの内容はすべて私たち利用者に直接関係し、介護負担や金銭的にも影響が大きいものなので、安心した人も多いかもしれません ただ、給付と負担のバランスを考えると、いつまでも先送りにできる内容ではありません
① 要介護1・2の総合事業への移行
要介護1と2を介護保険の介護給付サービスから切り離し、市町村の総合事業に移行する案がありました しかし利用者や業界団体の反発によって断念 移行によるサービスの低下や介護サービス事業所の撤退も危惧されていました
② ケアプランの有料化
現在、ケアマネジャーが作成する介護サービス計画書(ケアプラン)は無料ですが、有料化の案が出ていました こちらも公平中立性の観点から見送りとなりました
今回は、以上の2つは見送られましたが、引き続き次回の制度改正に向けて検討を行うようです
③ 2割自己負担の対象者拡大
1割負担に該当する方の基準を見直し、2割負担の割合を増やす案がありました しかし経済的な事情から世論の反対も多く、先延ばしが繰り返されています
④ 通所介護事業所による訪問サービスの提供
在宅介護を行う方は、現在訪問介護事業所を利用していますが、ホームヘルパーの人手不足の代替になればという狙いから、通所介護(デイサービス)事業所などの職員が訪問介護も実施するという案が出ました しかしデイサービスの事業所も人手不足で、余裕がないところも多くあります また、訪問介護事業所はホームヘルパーの人手不足が進行している上、今回の改正で基本報酬が2〜3%引き下げられることになりました これでは継続も従業員の獲得もさらに困難になりそうで、在宅介護に大きな影響が出そうです
⑤ 訪問介護・居宅介護支援への科学的介護の推進
介護業界には、介護サービス事業所からデータを収集し、サービスや利用者のあらゆる情報を集約した「LIFE(ライフ)」というデータベースがあります このシステムを訪問型サービスで活用する、事業所へのLIFE加算検討案が見送りとなりました データをケアに活かす段階にはまだ来ていないようです
先送りになったこれらの案に関しては、決定すると家計に直接影響してきます 今回はひとまず安心ですが、次回以降に決定となる可能性も高いのです
元気だから介護保険のお世話にはならないと思っていても、いつ何が起こるかわかりませんこの介護保険改正を自分事として捉え、適度な貯蓄を意識してみてはいかがでしょうか



渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会代表。親の介護をきっかけに、社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得 両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入院を繰り返す その経験を生かし、新聞やWebメディアでの執筆も多数
著書『親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)は家族の入院・介護に取り掛かる方のバイブルとなっている